発注書やラフデザインで他人の著作物を利用し契約相手に送ることは許されるか?
ウェブページやアプリの制作を外部に発注する際、あるいはそれらの制作を請け負った側がラフデザインを製作して提案する際に、雑誌に掲載された写真やインターネット上の画像など他人の著作物をコピーして相手方にメールなどで送付することがあります。こうした行為は著作権法上の問題はないのでしょうか。
この点、たとえ他人の著作物といえど、その作風を真似るだけならば著作権法違反とはなりません。著作権法は具体的な著作物を保護し、アイデアを保護する法律ではないからです。ここがアイデアそのものを保護する特許法との大きな違いになります。
もっとも、具体的な雑誌に掲載された写真やインターネット上の画像など他人の著作物をコピーして相手方にメールなどで送付することは、たとえそれが発注やラフデザインのイメージを伝える目的であるとしても、その他人が持つ複製権を侵害し、著作権侵害とされてしまう危険性が極めて高いところであり、注意が必要です。著作権法は引用による複製を一定の条件のもとで許容していますが、このような著作物の利用が引用に該当すると主張することも難しいでしょう。
こうした事態の発生を事前に防ぐ対策としては、発注書やラフデザインに著作物を直接複製するのではなく、リンクを活用する方法があります。ただし、リンクの方法によっては一体誰の著作物なのかがわからなくなってしまい、著作者人格権の侵害になってしまう可能性があるので、この点も注意が必要です。
ウェブページやアプリの制作でデザインを発注したり請け負われる企業様などは、お取引先などから著作権法違反などと指摘されることのないよう、業務の流れを一度弊事務所によくご相談頂くことをお勧めいたします。