キャラクターの写り込みはどこまで許されるか
嘘のような本当の話ですが、以前は例えばキャラクターもののTシャツを着た人をカメラで写して写真に撮ると、それはそのキャラクターの著作権侵害行為だったのです。もう少し詳しくご説明しますと、その写真撮影はキャラクターの複製または翻案を伴う行為であるため、これをキャラクターの著作権者に無断で行うことは著作権違反行為にあたるというわけです。しかしこれは国民の感覚からはどうしても腑に落ちません。
こうした不都合を解消しようと、平成25年の著作権法改正で著作物のこうしたいわゆる「写り込み」が著作権法に違反しないものとされました。これは録音についても同様です。たとえばショッピングモールでのビデオ撮影で、著作権者のいるBGMがたまたま録画に入り込んでも、例外的に著作権違反行為にはあたらないというわけです。
ただし、この写り込み規定の適用にも一定の要件があります。それは、当該付随著作物(上の話でいえばキャラクター)の種類、用途、またはその複製、翻案もしくは利用の態様が、著作権者の利益を不当に害するものではないこと、という要件です。
たとえば、キャラクターもののTシャツを着て写真を撮り、その姿を自分のSNSページにアップすることはまだ許されるといえそうです。
一方、ことさらにTシャツのキャラクター部分のみの画像をパソコン操作でキャプチャーして自分のSNSページにアップすることはどうでしょうか。また、キャラクターもののTシャツを着た人の写真を、そのTシャツやキャラクターと直接関係ない商品のカタログで用いることはどうでしょうか。こうなってくるとその写り込みの利用形態が著作権者の利益を不当に害している可能性は高そうです。
このように、意外に慎重に取り扱わなければならない「写り込み」著作物。特に写真や出版などのビジネスでその取扱いに迷われている方々は、気軽に弊事務所までご相談頂ければと思います。