不貞行為発覚から5年後の離婚。慰謝料請求はできるのか?
不貞に基づく損害賠償(慰謝料)請求権の消滅時効期間は、3年間と考えられています(民法724条前段)。そこで、配偶者に不貞行為が発覚してから5年後にその不貞行為が原因となって夫婦の離婚が成立した場合、不貞行為をされた側の配偶者に不貞配偶者に対する慰謝料請求が認められるかという問題が生じます。消滅時効期間の起算点の問題ともいいます。
この場合、配偶者に対する損害賠償請求のうち、離婚を余儀なくされたことに基づく損害賠償請求については、その損害は、離婚が成立することで初めて評価できるものであるとして、離婚時が起算点であると考えられています。最高裁の判例も同様です。
したがって、配偶者に不貞行為が発覚してから5年後にその不貞行為が原因となって夫婦の離婚が成立した場合も、離婚成立時から3年間は不貞配偶者に対する慰謝料請求が可能ということになります。
次に、配偶者に不貞行為が発覚してから5年後にその不貞行為が原因となって夫婦の離婚が成立した場合、不貞行為をされた側の配偶者は不貞相手に対して損害賠償請求することはできるのでしょうか。
この点、離婚が成立しない限り損害賠償請求権の消滅時効は問題にならないとした下級審判例はあるのですが、最高裁は訴え提起から3年以上前の不貞行為に基づいて不貞相手に慰謝料請求したケースで、損害賠償請求権は3年の消滅時効期間が経過し消滅したと判断しています。ここは素直に消極的に(すなわち不貞相手に対する損害賠償請求は認められない)と考えておいた方が無難と思われます。
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