【「訴状が被告に届かない!」‐訴状の不送達の問題について】(第1回/全2回)
不動産関係事件などでは、民事訴訟を提起して被告に訴状を送達しようにも被告が不在であったり訴状を受け取らなかったりして被告に訴状が届かないことが少なからずあります。今回のコラムではそのような問題に対する実務上の対応方法について解説いたします。今回は全2回のうち1回目です。
民事訴訟で被告に訴状を送達する意味
民事訴訟では、裁判を起こそうとする者(原告)が、まず裁判所に対して訴状を提出し、裁判所がその副本を相手方(被告)に対して送達し、被告がこれを受け取ることではじめて審理が開始される状態となります。
これは、被告が裁判を受ける権利を保障するための重要なシステムの一つとなっています。
原則は交付送達
この訴状の送達方式としては、まず原則として交付送達という方式が採られています。
これは、送達の名宛人(被告)に対し、送達書類を直接交付(手渡し)して行う方式です。
この交付送達が原則的な送達方式となっているのは、直接名宛人に訴状を手渡しをするため、送達物の内容を名宛人に確実に了知(認識)させることができるためです。
もっとも、名宛人に訴状を送達しようとしても、名宛人が不在であったり訴状の受け取りを拒んだりして送達物が受け取られず、結局裁判所に戻ってきてしまう場合もあります。このような場合、いつまでも手をこまねいて裁判を始めることができないというのでは、逆に裁判を起こそうとする者(原告)にとっての裁判を受ける権利の侵害ともなりかねません。
このような不都合を回避するため、民事訴訟法は、交付送達のほかにさらに別の送達方法を用意しました。それが付郵便送達と公示送達の2種類の送達方式です。以下第2回に続きます。