マンション建替え・共用部分変更決議の多数決要件、概ね維持へ

法務大臣の諮問機関となる法制審議会の区分所有法部会では、かねてより区分所有法改正についての審議が続いていますが、9月26日に開かれた第11回会議において、マンション建替え・共用部分変更の多数決要件について下記のような提案がなされておりますので、一つずつ見ていきたいと思います。

まとめますと、マンション建替え、共用部分変更について、それぞれ「5分の4以上」「4分の3以上」という骨組みは維持しつつ、「客観的事由」を具備していることを条件に、それぞれ要件を「4分の3以上」「3分の2以上」に緩和するというものです。

マンションの建て替え

マンションの建替えについては基本的な多数決要件を区分所有者・議決権の各「5分の4以上」とし、5つあるマンション建替え円滑化法上の「要除却認定」を客観的要件とし、これに1つ以上該当する場合「4分の3以上」に緩和するものとしています。

共用部分の変更

共用部分の変更については、概ね下記のような検討結果が示されております。

  1. 基本的な多数決割合を現行法どおり区分所有者および議決権の各「4分の3以上」とした上で、共用部分の設置または保存に瑕疵があることによって他人の権利または法律上保護される利益が侵害され、または侵害される恐れがある場合において、その瑕疵の除去に関して必要となる共用部分の変更については、多数決割合を区分所有者および議決権の各「3分の2以上」とする。
    → 現行の「4分の3以上」の骨組みは維持した上で、一定の客観的要件を具備した場合はこれを「3分の2以上」に引き下げることとされました。
    「共用部分の設置または保存に瑕疵があることによって他人の権利または法律上保護される利益が侵害され、または侵害される恐れがある場合」とは、共用部分の瑕疵により組合員や占有者の生命身体に危険が及ぶ場合とされ、例えばマンション建替え円滑化法上の「要除却認定」事由がこれにあたるものとされています。
  2. 多数決の割合を、区分所有者の頭数だけでなく議決権についても規約で過半数まで減ずることができることとする。
    → 現行の区分所有法第17条第1項では共用部分の変更決議の要件のうち区分所有者の頭数要件を規約により「4分の3以上」から過半数まで減ずることができるとされていますが、議決権については規約をもってしても「4分の3以上」から減ずることができませんでした。これを議決権についても規約で過半数まで減ずることができるとすることで、管理組合ごとの対応により共用部分の変更の意思決定がより行いやすくなります。

マンション管理でお困りの管理組合役員様、管理会社様、区分所有者様がいらっしゃいましたら、弊事務所までお気軽にご相談ください。

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