【コロナウイルス関連】飲食店倒産の現状と破産手続きについての緊急解説
折からのコロナウイルス禍の影響で、特に飲食店を取り巻く環境は来客減や仕入れでの制約の増大など厳しさを増しています。実際、今回のWHOによるパンデミック宣言後、飲食店からの破産手続きのご依頼を頂いております。
こちらのコラムでは、飲食店において経営の悪化が招く会社破産の現状と、飲食店における破産手続きの流れについて詳しく解説してまいります。
飲食店倒産の現状は
株式会社帝国データバンクの調査(以下同じ)によると、2018年度(2018年4月~2019年3月)の飲食店の倒産、休廃業・解散の合計は1180件となり、東日本大震災発生後の2011年度(1134件)、リーマン・ショックが発生した2008年度(1113件)をいずれも上回り、2000年度以降で最多を更新しました。うち倒産は657件でした。
飲食店の業態別にみると
飲食店の業態別にみると、倒産件数は1位「酒場・ビヤホール」128件、2位「西洋料理店」101件、3位「中華・東洋料理店」95件、4位「喫茶店」73件、5位「日本料理店」61件の順となっています。
飲食店倒産の負債額は
飲食店倒産の負債額を見ると、2018年度の飲食店倒産の負債総額は322億1900万円、うち負債5000万円未満の倒産が構成比82.6%(543件)という大部分を占めました。全体に占める5000万円未満の倒産は2016年度から比較して増加傾向にあります。
飲食店倒産の原因は
飲食店の倒産については8割の主因が「販売不振」とされています。また、飲食店では正社員については61.9%、非正社員では78.6%の事業者が不足を感じていると回答しており、人手不足を背景とした販売不振に陥っている事業者は多いとみられます。
こうしたベースに今回のコロナウイルス禍による来客減の事象が加わるため、今後も飲食店を取り囲む環境は比較的厳しい状況が続くことが予測されます。
このように2018年度の飲食店の破産事情を把握できたところで、飲食店破産手続きの流れについて以下解説してまいります。
法人経営の飲食店の破産手続きの流れ
まずは、個人店経営ではなく、法人経営の飲食店の場合の破産手続きについて解説してまいります。
STEP① 弁護士に相談
↓
STEP② 弁護士に破産手続きの依頼・契約
↓
STEP③ 破産申立て書類の作成・残務整理・従業員の解雇
↓
STEP④ 地方裁判所への破産申立て
↓
STEP⑤ 破産手続き開始決定・破産管財人選任
↓
STEP⑥ 破産管財人との面談・打ち合わせ
↓
STEP⑦ 破産管財人の調査業務への協力
↓
STEP⑧ 債権者集会開催
↓
STEP⑨ 債権者への配当
↓
STEP⑩ 破産手続きの終結
STEP① 弁護士に相談
まずは法律事務所へのご相談をおすすめします。
弊事務所では、飲食業のみならず建設業、製造業、IT業ほか多数の業種につき企業破産手続きの実績がございます。
弊事務所の法律相談では、破産手続きの流れ、破産以外の事業再生方法のチョイスと可能性についてご説明を差し上げます。
弊事務所での破産手続きのご相談は初回無料です。
STEP② 弁護士に破産手続きの依頼・契約
この法律相談において、飲食店破産にかかる費用や時間、具体的な流れについてご納得頂けましたら、正式なご依頼とご契約へと進みます。
ご契約後、弊事務所より債権者に対して「受任通知」を発送します。
受任通知とは、各債権者に対して近く破産の申立てを行う旨を連絡するとともに債権額の開示を求める内容の通知のことです。
この受任通知が債権者に発送されると、今後債権者は債務者(ご依頼者様)に対して直接取り立てができなくなります。以降すべての窓口は弊事務所の代理人弁護士が担当致します。
このようにまず受任通知を債権者に発送することで、債権者による取り立てなどから解放され、飲食店経営者の精神的な負担もある程度軽くなることでしょう。
STEP③ 破産申立て書類の作成・書類作成・残務整理・従業員の解雇
弊事務所にて、ご依頼者様からご事情を伺いながら、破産申立てに必要な申立書や添付書類の準備を進めます。
このように破産手続きで裁判所に提出する書類につきましては、そのほとんどを弊事務所の方で作成いたしますので、心配はありません。
その他、この段階で会社の残務整理や従業員の解雇を行ないます。
従業員の解雇については、代理人弁護士のアドバイスの元で慎重に進めて頂きたいと思います。
また、従業員への未払い賃金がある場合には、通常これを破産管財人へ申告して対応することになります。
STEP④ 地方裁判所への破産申立て
代理人弁護士が地方裁判所へ法人の破産手続き申立書を提出して破産手続きの申立てを行い、予納金と呼ばれる手続き費用を納めます。
STEP⑤ 破産手続き開始決定・破産管財人選任
地方裁判所より破産手続きの開始決定がなされ、破産管財人が選任されます。破産管財人には、会社と全く関係のない第三者の弁護士が任命されます。破産者と債権者のいずれからも中立な立場にある役職であり、破産者の財産の調査や管理、換価処分などを行い、債権者に弁済や配当を行うことがその業務となります。
この時点で、財産の管理処分権限は破産者から破産管財人へ移るとともに、債権者も財産の差し押さえや強制執行ができない状態になります。
債権者はこの破産手続き開始決定通知を受け、自らの債権の金額を債権届出書に記載して地方裁判所に提出します。
STEP⑥ 破産管財人との面談・打ち合わせ
破産者(ご依頼者様)には代理人弁護士とともに破産管財人と三者で面談し、会社の資産や負債額の状況等を説明するとともに今後の方針方についての打ち合わせを行って頂きます。
破産管財人は会社の財産を処分、売却し現金化します。
STEP⑦ 破産管財人の調査業務への協力
破産管財人から追加の調査事項に対する回答を要請された場合、破産者(ご依頼者様)にはこれにご協力頂くことになります。
STEP⑧ 債権者集会開催
通常、破産手続きの開始決定から約3ヶ月後に地方裁判所で第1回債権者集会が開催されます。
債権者集会は、裁判官や破産管財人、破産申立代理人弁護士、破産者(ご依頼者様)、債権者などが出席し、破産管財人が裁判所や債権者に対し会社の資産・負債状況や配当の見込み等を報告します。
この債権者集会は1回で終了する場合が比較的多いものの、2回目、3回目と引き続き開催されることもあります。
STEP⑨ 債権者への配当
破産管財人は、会社財産を売却、処分して捻出した資金から、税金や社会保険料などの未払い賃金を支払います。
それでも現金が余る場合には、一般の債権者に配当を行います。なお、残余がなければ当然配当は行われず、実務上無配当で終わることも多いといえます。
STEP⑩ 破産手続きの終結
配当手続きまで完了しますと、破産手続きは無事終結となります。
個人経営の飲食店の破産手続きの流れ
飲食店は、法人ではなく個人事業主も多く、その場合の破産手続きは、法人とは異なり個人の自己破産となります。この個人の自己破産手続きについては、破産手続きと並行して個人の免責手続きも行われます。
次に個人事業主・自営業者の飲食店破産手続きについて解説してまいります。
STEP① 弁護士に相談
↓
STEP② 弁護士に破産手続きの依頼・契約
↓
STEP③ 破産免責申立て書類の作成・残務整理・従業員の解雇
↓
STEP④ 地方裁判所への破産申立て
↓
STEP⑤ 裁判官との面接
↓
STEP⑥ 破産(管財)手続きの開始の決定
↓
STEP⑦ 免責手続きの開始
↓
STEP⑧ 管財人との面接
↓
STEP⑨ 債権者集会
↓
STEP⑩ 免責の確定
STEP① 弁護士に相談
まずは法律事務所へのご相談をおすすめします。
弊事務所では、飲食業のみならず建設業、製造業、IT業ほか多数の業種につき破産手続きの実績がございます。
弊事務所の法律相談では、破産手続きの流れ、破産以外の事業再生方法のチョイスと可能性についてご説明を差し上げます。
弊事務所での破産手続きのご相談は初回無料です。
STEP② 弁護士に破産手続きの依頼・契約
この法律相談において、飲食店破産にかかる費用や時間、具体的な流れについてご納得頂けましたら、正式なご依頼とご契約へと進みます。
ご契約後、弊事務所より債権者に対して「受任通知」を発送します。
受任通知とは、各債権者に対して近く破産の申立てを行う旨を連絡するとともに債権額の開示を求める内容の通知のことです。
この受任通知が債権者に発送されると、今後債権者は債務者(ご依頼者様)に対して直接取り立てができなくなります。以降すべての窓口は弊事務所の代理人弁護士が担当致します。
このようにまず受任通知を債権者に発送することで、債権者による取り立てなどから解放され、飲食店経営者の精神的な負担もある程度軽くなることでしょう。
STEP③ 破産申立て書類の作成・書類作成・残務整理・従業員の解雇
弊事務所にて、ご依頼者様からご事情を伺いながら、破産申立てに必要な「申立書」や「添付書類」の準備を進めます。
このように破産手続きで裁判所に提出する書類につきましては、すべて弊事務所の方で作成いたしますので、心配はありません。
その他、この段階で残務整理や従業員の解雇を行ないます。
従業員の解雇については、代理人弁護士のアドバイスの元で慎重に進めて頂きたいと思います。
また、従業員への未払い賃金がある場合には、通常これを破産管財人へ申告して対応することになります。
個人経営の場合の必要書類には以下のようなものがあります。個人経営の飲食店破産に必要な書類
- 破産手続き開始及び免責申立書
- 陳述書
- 債権者一覧表
- 資産目録
- 家計の状況
- 住民票
- 戸籍謄本
- 給与明細書(写し)
- 源泉徴収票(写し)
- 賃貸借契約書(写し)
- 預金通帳(写し)
- 不動産登記簿謄本
- 退職金を証明する書面
- 検証(写し)
- 自動車の査定書
- 保険証券の写し
- 年金等受給証明書(写し)
- 保険解約返戻金証明書
STEP④ 地方裁判所への破産免責手続きの申立て
代理人弁護士が地方裁判所へ個人の破産免責手続き申立書を提出して破産手続きの申立てを行い、予納金と呼ばれる手続き費用を納めます。
STEP⑤ 裁判官との面接
地方裁判所への破産手続き申立て後、その約1ヶ月後に裁判所にて裁判官との面接が行われます。
この面接では、どうして破産申立人が自己破産に至ったのかという事情について質問されます。
裁判官との面接と聞くと不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、あまり身構える必要はありません。代理人弁護士がいれば、代理人の方でも受け答えを行うかサポート致します。
なお裁判官との面接は、債務者に代わり代理人弁護士が行う場合もあります。
この場合、破産申立人(ご依頼者様)は裁判所へ出向かなくてもよいので、ご安心ください。
面接の際、裁判官に質問される内容としては、以下のようなものがあります。
- 債務超過による支払い不能に陥った理由
- 債権者数や借金の総額
- 債権者一覧以外からの借り入れの有無
- 資産の保有処分状況
など
STEP⑥ 破産(管財)手続きの開始の決定
裁判官との面接が特に問題なく進めば、面接からだいたい1週間以内に破産手続きの開始決定がなされます。
ここでは単なる個人による自己破産ではなく、あくまでも飲食店(個人事業主)による破産のケースですので、個人の自己破産のように同時廃止手続きではなく管財事件」として取り扱われる場合の流れをご説明します。
管財事件とは、裁判所によって破産管財人が選任され、破産管財人が破産者の財産を調査、処分、売却し、配当できる財産があればこれを各債権者に分配する破産手続きのことです。
法人の飲食店破産手続きとは異なり、個人事業主の破産手続きの場合、事業とは直接関係のない個人所有の自宅不動産や車なども換価処分の対象となってしまう場合もあります。
管財事件での破産手続きの場合は、破産管財人の選任と共に、予納金を納める必要があります。
STEP⑦ 免責手続きの開始
破産開始決定から約2ヶ月後に、スムーズに進めば「免責手続きの開始」が行われます。
STEP⑧ 管財人との面接
管財人が選任された後、管財人と面接して頂くことは法人破産の場合と変わりありません。
その後だいたい3ヶ月以内に債権者集会が行われます。
STEP⑨ 債権者集会
債権者集会とは、債権者に対して、破産管財人による破産者の財産状況の報告や破産に至った理由を開示し、債権者からの意見の聴取などを行う場になります。
債権者集会は、1度で終了する場合が比較的多いといえますが、複数回行われることもあります。
STEP⑩ 免責の確定
免責審尋から約1週間以内に裁判所から免責許可決定が出され、ここでようやく借金の返済義務から解放されることとなります。
また、このタイミングにて破産者の住所や氏名が官報に掲載されます。
さらに、債権者が異議を述べない限り、免責許可決定から約1か月後に免責許可決定が確定しますので、これで正式に借金を返済する必要がなくなります。
以上