著作権の存続期間が延長される?

みなさんこんにちは。弁護士の小川です。

みなさんは「青空文庫」というwebページをご存知でしょうか。

著作権の保護期間(現在は映画などを除き没後50年間)が切れた小説などの著作物の全文を一般に公開している大変便利なページで、芥川龍之介や夏目漱石といった文豪たちの作品もほとんどここで公開されています。こちらを利用すれば、実は本屋で文庫本を買う必要もないんです!

そこで、今回の米国とのTPP交渉。

農産物や自動車の交渉内容が華やかに報じられていますが、その裏で、この著作権の存続期間を20年間延長し、米国の要求する70年間に延長される方向であるというのです。

そうすると一体何が起こるか。ここ20年以内に著作権の存続期間を迎える作家たち(たとえば三島由紀夫2021年、川端康成2023年だそうです)の著作権存続期間が軒並み延長されてしまい、青空文庫で読むことはまた長い長い間かなわないということになります。「本屋で文庫本買えばいいよ」とはいえ、ちょっと損した気分になりますよね。

ところが話はそれだけでは終わりません。そもそも日本はディズニーはじめコンテンツ文化の米国に対して莫大な著作権使用料を支払い続けているので、この依存構造がさらに進むということになるわけです。われわれ日本国民も、米国発のコンテンツや利用商品を延々と高く買わされるということになるでしょう。

その他にも作家の没後70年も経つと相続人の把握が困難になり保護期間経過後の著作の掘り起こしがうまくいかなくなるなどの弊害も指摘されているようです。

著作権者優位(というかコンテンツ優位)な状況下での著作権存続期間延長問題。むろんコンテンツ事業者さんを奮起させる効果は見込めるのでしょうが、みなさんはどうお考えになるでしょうか。

 

コラム:企業法務

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