弁護士に相談・依頼するタイミングとは(交通事故編)
先日離婚事件について述べさせていただいたところですが、交通事故に遭われた方からもよく聞かれるご質問として「一体いつ、弁護士に相談したり、依頼することを考えればよいでしょうか?」というものがあります。
無論、これにお答えするには、事故態様や被害の種類・程度、過失割合について激しく争われる事案かなど、様々な要素が前提となるため、個別の事件を離れていちがいにお答えすることは簡単ではありません。ですが以下では、モデルケースとして人的損害(後遺障害)を伴うごく一般的なケースを想定して、事件の典型的なフェーズを画する(1)事故発生後間もない時期、(2)症状固定時期、(3)後遺障害等級認定時、(4)保険会社からの示談案提示時期の4つに分けて申し上げたいと思います。
(1)事故発生後間もない時期
交通事故に遭われた方は、今後相手方や保険会社と何を話し、またどう接していけばよいかということをはじめ多くの不安を抱えておられることと思います。
この時期にご相談にお越しいただいた場合、まずは今後の治療や保険会社との交渉の流れや見通し、あるいは交渉の際の留意点等についてご説明することになるかと思われます。
このときは上記のようなご説明にとどまり、症状固定後に再度ご来訪をお願いするケースも少なくありません。通常は症状固定後でないと損害金額の確定ができないためです。
もっとも、事故発生後の早い段階から弁護士が主体的に交渉や調査で関与した方がよいと判断した場合、この時期でのご依頼をお勧めする場合もございます。
(2)症状固定時期
まだ完治しておらず治療を続けたいという方には、治療が続けられる方向での保険会社との交渉方法につき、できる限りのアドバイスを差し上げることにしております。
一方、早く自賠責への後遺障害認定に移りたいという方に対しては、基本的に弁護士へのご依頼をおすすめしております。後遺障害認定手続がスムーズに進むよう、必要な診断や検査の内容につき、親身になって継続的にアドバイスしお手伝いさせていただきます。
このように、少しでも高い等級を得るべく戦略的に必要書類を収集するのとしないのとでは、後遺障害認定結果に雲泥の差が出てくる、ということは頭の片隅に置いておいていただければと思います。
(3)自賠責の等級認定結果が出た時期
ここでは、自賠責の等級認定申請を行ったが、その認定結果が思ったより低く納得がいかないという方がご相談に見えられます。
この段階では、後遺障害認定結果やその根拠となった資料等をご相談の場において検討させていただき、異議申立てによって等級が上昇する可能性があるかどうかを判断します。そして等級上昇の可能性があると判断される場合に限って弁護士へのご依頼をおすすめすることにしております。ここでは、異議申立て手続が実を結ぶよう、必要な資料の収集につき、親身になって継続的にアドバイスしお手伝いさせていただきます。
(4)保険会社からの示談案提示時期
ここでは、当事務所では次の2段階に分けて示談案を検討させていただきます。
- 後遺障害認定結果は妥当なものであったか。(根拠資料は十分提出されているか、など)
- 後遺障害認定結果を前提として、示談案は適切な損害金額を提示しているか。(損害の評価は適切か、根拠資料は十分提出されているか、過失割合は適切か、など)
以上を検討し、弁護士が代理人として介入することで示談金額の上昇が相当程度見込める場合のみ、弁護士へのご依頼をおすすめしております。
ほかにも相手方保険会社からの説明がよく理解できないなど、弁護士にご相談したくなる時期は多々あろうかと思います。疑問を感じたり不安になったときは、まずお気軽に当事務所へご相談いただければと思います。
以上
- 当事務所の交通事故事件の対応はこちらをご覧ください。