養育費の支払い義務者が退職して無収入に。子どもたちに支払う養育費をゼロに変更してもらえるのか?
養育費の支払い義務者が退職し、無収入になってしまった場合、子どもたちに支払う養育費をゼロに変更してもらえるよう支払い義務者は家庭裁判所で請求できるのでしょうか?
答えは、原則としてNO。このように支払い義務者が退職した場合も、養育費算定の基礎となる収入が直ちに退職後の収入(すなわちゼロ)と認定されるわけではありません。支払い義務者が退職した場合、その潜在的稼働能力の有無にしたがって支払い義務者に相応の収入があるものとの認定がなされるのが普通です。この潜在的稼働能力が支払い義務者にどの程度あるのかについては、支払い義務者の過去の学歴やキャリア、健康状態、年齢、退職に至った経緯、再就職の可能性等を判断基準として判断されることになります。
なお、判例では支払い義務者がアルコール依存症に罹患して保佐開始申立手続きを予定しているなどの事情から潜在的な収入をゼロと認定した例、歯科医が退職して収入が減少したが、その年齢、資格、経験などからこれまでと同等の収入を得ることは可能なはずであるとして退職後の減少した収入を基礎収入と認めなかった例などがあります。
ここまで述べたことは、支払い義務者が失業保険を受給している場合も、基本的に同様のことがいえます。原則として、支払い義務者の収入算定の基礎になるのは、失業保険の給付額ではなくその潜在的稼働能力に応じたみなしの収入額の方になるわけです。
ご自分のケースでは一体どうなるのかご疑問を持たれた方は、一度弊事務所までご相談されることを是非お勧めいたします。