夫婦の一方又は双方が経営に関与する法人の財産。離婚時に財産分与の対象になる?
夫婦の一方または双方が経営に関与する法人の財産は、離婚時の財産分与の対象になるのでしょうか。
この点、法人はあくまで離婚する夫婦とは別人格であるため、法人の財産は財産分与の対象とならないのが原則です。
ただし、たとえ法人名義の財産であっても、その財産の形成に夫婦の貢献が大きく寄与していて、実質的に夫婦の共有財産といえるような場合には、例外的に財産分与の対象となると考えられています。
たとえば、広島高裁岡山支部平成16年6月18日判決は、夫婦が自動車販売会社やマンション管理会社を共同で設立・経営していたケースについて、いずれの会社も夫婦の同族会社であって、夫婦双方はそれらの会社の経営に従事し貢献してきたことを重視して、これらの会社の財産を財産分与の分与対象と認定しました。本件では、夫婦の寄与率はそれぞれ5割と認定されています。
なお、法人財産の財産分与の方法は、法人の財産に直接手を付けることはできず、通常は金銭補償での解決となることが多いでしょう。
それでは夫婦が経営する会社の株式や出資持分を一方の配偶者が保有する場合、他方の配偶者は相手方に対して株式や出資持分の財産分与を求めることができるでしょうか。理論的にはこれも可能なのですが、同族会社などでは一部の株式を財産分与として受け取ったところで換価もできずほとんど価値を有しないということもしばしばです。こうした場合も株式や出資持分を評価した上で、金銭補償による財産分与の形を取るのがよいでしょう。
ご自分のケースで法人名義の財産が財産分与の対象となるのかどうかご疑問に思われている方は、一度弊事務所までご相談されることを是非お勧めいたします。