コラム離婚2 配偶者暴力等(DV)に関する保護命令申立てについて
最近配偶者暴力等(DV)に関する保護命令申立ての伴う離婚事件の受任が続いていますので,私なりに整理してみたいと思います。
申立先
概ね相手方の住所の所在地,申立人の住所又は居所の所在地,または当該申立てに係る配偶者からの暴力・脅迫が行われた地
ケースの緊急性を考慮し,申立先の裁判所はかなり融通が効くように設定されています。ちなみに地方裁判所の管轄です。
保護命令の内容
(1) 接近禁止命令
(2) 退去命令
(3) 子への接近禁止命令
(4) 親族等への接近禁止命令
この中でよく申立したり申立されるのは(1)と(3)ですね。特にお子さんの親権や引渡しが問題になっているケースでは,(3)が必ずといっていいほどついてきます。(1)は,どの申立てでも申立内容に含めなければなりません。
罰則
保護命令が下されたにもかかわらずこれに従わず違反者には,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。
申立権者
被害者本人のみです。
申立の要件
「身体的暴力を振るわれて生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき」です。これまで継続的に身体的暴力を受けてきたことを具体的に(日時や具体的な暴力の内容の含め)主張し,診断書や写真などの具体的証拠を添えられることが重要といえるでしょう。
その他,配偶者暴力相談支援センター(指定)または警察署(生活安全課等)に事前に相談に行っておく必要があります。公証人の前で宣誓し作成した宣誓供述書でこれに代える方法もあるようですが,ほとんど例はないようです。
申立後の流れ
(通常の例です)
申 立
↓ ほぼ即日
申 立 人 面 接
↓ 約1週間後
相手方審尋(面接)
↓
命令発令もしくは申立却下
割合としては少ないですが,再度の申立人面接や相手方審尋が行われるケースもあります。
これは私個人の漠とした印象ですが,最近は(特に妻側が子を連れているケースで)十分に具体的な主張や証拠を伴わないまま,とにかく夫から距離を取りたいという目的で申立がされているのではないかというケースも散見されます。実際,保護命令の発令に至らないケースは少なくありません。濫用的な申立のケースがないとはいえないと考えられるため,裁判所にはこの点の十分慎重な判断をお願いしてゆきたいところです。
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