離婚財産分与の対象財産確定の基準時は一体いつか?
夫婦の離婚時における財産分与の対象となる財産を確定させるためには、一体いつの時点を基準に夫婦の財産を確定させるかという問題があります。これを分与財産確定の基準時の問題といいます。
この点、分与財産確定の基準時としては別居開始時と裁判時(離婚訴訟の口頭弁論終結時。離婚が先行している場合は離婚成立時)という2つの考え方がありますが、一般的には前者の別居開始時が基準時とされています。すなわち、夫婦の離婚時の財産分与に当たっては、別居開始時を基準に夫婦の分与対象財産を確定させるというわけです。
判例も「清算的財産分与は、夫婦の共同生活により形成した財産を、その寄与の度合いに応じて分配することを、内容とするものであるから、離婚前に夫婦が別居した場合には、特段の事情がない限り、別居時の財産を基準にしてこれを行なうべきであ」ると判断しており、別居開始時を基準時とする立場を明確にしています(名古屋高裁平成21年5月28日判決)。
もっとも別居開始時説を貫くとあまりに不公平なケースも生じることが想定されますので、そのような場合には例外的に基準時を別居開始時から修正することも当然ありうるため、判例は「特段の事情がない限り」という留保を付けているものと思われます。
ご自分のケースで財産分与の対象財産確定の基準時が一体いつになるのか専門家の意見を聞いてみたいという方は、一度弊事務所までご相談されることを是非お勧めいたします。