婚姻費用・養育費の標準算定方式・算定表とは

婚姻費用養育費の標準算定方式とは、裁判所が適切な婚姻費用や養育費を算定する際に用いている計算式のことで、我が国のほとんどの裁判所に普及しているものです。

その計算は、婚姻費用の場合、まず権利者(受け取る側)と義務者(支払う側)の総収入をそれぞれ認定し、それぞれの所得種別(具体的には自営業者か給与所得者か)に応じた基礎収入割合(給与所得者で通常34%から42%)を乗じて(これにより公租公課や経費などを総収入から差し引く)それぞれの基礎収入を認定します。次に基礎収入を合計し、別居しているそれぞれの世帯の構成を前提に生活費指数(世帯主=1000歳~14歳=5515歳~19歳=90)によって権利者世帯と義務者世帯に割り振ります。

一方、養育費の場合、権利者と義務者それぞれの基礎収入を計算することは婚姻費用と一緒ですが、その後、子が基礎収入がより大きな親と同一世帯にあったときに割り振られるべき生活費を、その親子の生活費指数を元にして算出します。最後に、その割り振られるべき生活費を、権利者と義務者それぞれの基礎収入の割合で按分して負担することとし、義務者の負担額を算出します。

このように標準算定方式は計算式としてはなかなか複雑なものとなります。そこで、東京家庭裁判所と大阪家庭裁判所の裁判官が共同研究で作成したのがいわゆる婚姻費用・養育費の算定表で、標準算定方式で算定した婚姻費用・養育費を親が0~3人の子どもを養育していることを前提として表形式にまとめたものです。特徴としては、婚姻費用額及び養育費の額に1万円から2万円の幅を設けたものとなっており、権利者と義務者のそれぞれの年収、自営業者と給与所得者の別、子どもの人数・年齢などから比較的容易に適切な婚姻費用や養育費を導くことができるようになっており、現在ほとんどの裁判所で実務上活用されているものです。

もっとも、婚姻費用・養育費の一覧表は参考にはなりますが個々の事例ごとに夫婦の経済状態、収入支出のあり方は千差万別で、一覧表通りにいかないケースも決して少なくありません。ご自身のケースで婚姻費用・養育費の見込みがどうなるのかお知りになりたい方は、お気軽に弊事務所までご相談くださるようおすすめいたします。

コラム:離婚・男女問題

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