コラム離婚3 離婚するのに別居期間は何年必要?
「離婚相談あるある」ではありませんが・・
極めて多くのご相談者の方々からご質問をいただくのが「私と夫(あるいは妻)との別居期間が○○年ありますが、これで離婚が成立するものでしょうか?」というものです。このご質問に対しては、いくぶん投げやりな回答のようにも聞こえてしまうかもしれませんが、一般的には「ケースバイケースですね」という回答が最も的を射ているなという感を強くしています。よくいわれる「3年」という基準も、それで必ず、あるいは概ね離婚が認められるというものではなく、あくまでほんの目安と考えていただいた方がよいでしょう。
別居期間の長さには法律上どんな意味があるのか
そもそも夫婦の別居期間の長さには法律上どのような意味があるのでしょうか。正解は、民法上の離婚原因として、一方の不貞行為や遺棄行為などが列挙されたあとの最後に「その他婚姻を継続し難しい重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)というものが出てきますが、この「重大な事由」の有無の判断に別居期間が一判断要素として影響を与えると考えられます。
別居期間に関する最近の裁判例
別居期間については、最近約12年半の婚姻期間の後別居したケースで、その後2年間の別居期間を経た後でも、妻からの離婚請求が認められないという判決が出ました(東京高等裁判所平成25年4月25日判決)。
一般的には、2年間の別居期間を経ていながらなお離婚請求が認められないのは妻に酷ではないかという印象も受けます。
しかし、本件では、妻の主張した夫の不貞行為が認められず、やはり妻が主張した、夫による義母(妻の母)に対する暴力も継続的なものでなく単発的なものにとどまると判断されるなど、結局別居期間以外に離婚請求の適否を判断する材料が裁判所に乏しかったという事情も挙げられそうです。
まとめ
やはり、別居期間「3年間」を一つの目安程度として念頭に置きつつ、別居期間以外にも離婚請求の原因となる事実を事前によく整理し、それに沿って証拠を事前にきちんと集めておくことが肝要といえるでしょう。こうすることで、「別居期間頼み」でずるずると離婚できない期間が積み重なるリスクを防止することがきっとできるはずです。
以上
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