不貞行為の主張はどのようにして争われるか(2)
今回も、夫婦の一方(こちらが原告になります)が夫婦の他方もしくはその不貞相手(こちらが被告になります)を不貞行為で訴えた場合に、訴えられた相手方がどのようにその責任を争う場合があるか、続きを検討してみたいと思います。
三番目に、不貞行為の事実はあったが、その時点において婚姻関係が既に破綻していたとして責任を否定する場合が考えられます(婚姻関係の破綻)。もっとも、過去の判例はなかなか簡単にはこの夫婦関係の破綻の主張を認めません。裁判所が夫婦の婚姻関係が「円満ではなかった」「危機的状態にあった」「形骸化していた」「破綻する寸前にあった」などと認定しながらも結局は「まだ婚姻関係は破綻にまでは至っていなかった」として婚姻関係の破綻の主張を退けた判例は、数えきれないほど存在します。相手方が離婚調停を起こしてきてもまだ夫婦関係は破綻していなかったと認定した判例もありますから、十分注意が必要でしょう。
四番目に、確かに不貞行為の事実は存在するが、それは不貞相手によって自由意思を制圧され、関係を強要されたことによるものであるとして責任を否定することが考えられます(自由意思の制圧)。判例には、男性(夫)による執拗なストーカー行為と暴力脅迫行為に屈して同人と不貞関係を持つに至った女性が男性の妻から不貞行為を原因として損害賠償請求されたケースで、女性の行為が夫婦の婚姻関係を破綻させたり妻の権利を違法に侵害するものではないとして、女性の損害賠償責任を否定したケースがあります。やや特殊なケースといえるでしょう。
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