離婚調停・訴訟における証拠の取扱いについて

離婚調停・訴訟においては、当事者の主張も証拠を伴わなければ説得力に欠けて裁判所は心証を形成できず、当事者の主張が認められることはないと言っても過言ではありません。そこで今回は離婚調停・訴訟における証拠の取扱いについて見てみたいと思います。

手続別

離婚調停の特徴

離婚調停では、調査嘱託手続のように裁判所が職権で証拠を取得する手続きはできないと思った方がよいでしょう。すなわち、調停で離婚を成立させたいという強い決意で調停に臨む場合、ご自身の主張の立証に必要な証拠は事前に準備できていることが必要不可欠、といっても過言ではありません。ご注意いただきたいと思います。

離婚訴訟の特徴

離婚訴訟でも基本的に各当事者が自身の主張を立証する証拠を自分で収集し提出しなければならないという原則は変わりません。

もっとも、離婚訴訟の段階になりますと「調査嘱託手続」といって家庭裁判所が職権で役所や金融機関といった各部署に照会を行い回答を得ることのできる手続きが用意されています。例えば、相手方がA銀行に自分の名義で口座を持っていることを知っており、こちらがその開示を相手方に求めているにもかかわらず相手方がこれに応じようとしない場合、家庭裁判所に調査嘱託の申立てを行い、相手方名義の口座の入出金履歴などをA銀行から裁判所へ直接回答してもらう、ということが可能なのです。

こうしたことから、離婚訴訟では各当事者ともに家庭裁判所が調査嘱託すれば自身の財産など関する情報は相手方に開示されてしまうということを理解おり、証拠開示、情報開示には積極的なのが通常です。

請求別

婚姻費用・養育費

お互いの収入は源泉徴収票や課税証明書で立証します。自営業者については確定申告書が用いられます。

財産分与

財産分与対象に従い、下記のようなものが証拠となります。

預貯金・・・口座通帳、銀行発行の入出金履歴一覧表など

不動産(土地・建物)・・・登記事項全部証明書

自動車・・・車検証、登録事項証明書

有価証券・・・株券などの各種証券、インターネットでの保有情報のプリントアウトなど

保険(生命・損害)・・・保険証書、解約返戻金証明書

不貞慰謝料

  • 興信所の調査報告書
  • SNSやメッセージ、メールなどでの不貞当事者間のやりとり
  • ホテルなどのクレジットカード利用履歴

DV慰謝料

  • 診断書
  • 負傷部位の写真
  • 録音・録画
  • 警察への通報記録(地元の警察署へ照会)

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コラム:離婚・男女問題

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