離婚事件における家庭裁判所調査官の調査。どのように行われる?
家庭裁判所における離婚訴訟では、実務上、子の監護に関する処分や親権権者の指定に関して家庭裁判所調査官(以下「調査官」といいます)による調査が広く行われています。今回は、この離婚事件における家庭裁判所調査官の調査について見てみたいと思います。
どんな事項について調査官調査が行われるのか
今日では実務上離婚事件における家庭裁判所調査官の調査は子の監護に関する処分(子の引渡しや面会交流など)や親権権者の指定といった事項に関して行われるのが通常です。一方、養育費や財産分与に関して調査官調査が行われることはまずありません。
裁判所(裁判官)は、調査官に対して事実の調査を命じるに当たり、調査を要する事項(調査の対象事項)を予め特定することとされています。
調査官調査は離婚訴訟のどのタイミングで行われるのか
離婚訴訟の争点がまだ整理されていない時期に調査官調査を行っても、その後も争点の変更や追加がなされてしまい、先の調査官調査が無駄なものとなりかねません。また、調査官調査が行われるタイミングが早すぎると、その後離婚訴訟中に各当事者に事情の変更があった場合でもこれを調査官調査の結果に反映させることができず、適正な判決とならないおそれがあります。
そこで、調査官調査は基本的に訴訟の争点整理が終了した段階で行われることとなります。
調査官調査の流れはどうなっているか
調査官調査は、裁判所の事実の調査として行われるものであり、各当事者の主張や立証とはレベルの違うものですから、本来家庭裁判所が職権で自由に行うべきものです。
もっとも、実際は調査官も調査官調査を行う前に調査を受ける当事者と事前に調査の日程・方法等について事前に打ち合わせを行うのが通例です。この打ち合わせの時間は、離婚訴訟の弁論準備期日(だいたい月1回開かれる離婚訴訟の期日の一種)の直後に開かれるのが通常です。この場合、まず調査官の同席している弁論準備期日において裁判官から当事者に対し、調査事項や概要、調査官による調査報告書の作成提出期限などが説明され、それに引き続いて各当事者と調査官が具体的な調査の日程・方法等を打ち合わせることになります。
調査の方法にはどのようなものがあるか
調査官調査には、(1)家庭裁判所での親の調査、(2)子の通う保育園、幼稚園、小学校等関係機関の調査、(3)家庭訪問調査、(4)子の意向調査、(5)家庭裁判所付設のプレイルームなどでの試行面会交流調査などがあります。
もっとも、非監護親(子どもを実際に監護していない方の親)については、陳述書や本人尋問で足りると家庭裁判所が判断し、調査官調査が行われない場合もあります。
調査官調査に当事者は立ち会うことができるか
調査官調査に対する当事者の立会権は特に認められていません。
調査官調査の調査結果はどう処理されるのか
調査官調査の調査結果は、調査報告書という形で書面にまとめられ、後日家庭裁判所での閲覧・謄写が可能となります。通常その内容をもとにしてさらに各当事者による反論や主張・立証の追加が行われます。
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