住宅ローンが残っている家に子どもと一緒に住み続けたい。可能か?

夫が負担している住宅ローンが残っている家に住み続けたい場合、妻が夫だけが出て行った家で子どもと一緒に住む方法はあるのでしょうか。

妻が不動産を取得し住宅ローンも支払い続ける方法

まず、妻が夫や金融機関と交渉し、住宅ローンの借り換えをして自分が住宅の所有者かつ住宅ローンの債務者となることが考えられます。この場合、免責的債務引き受けといって夫は住宅ローンの債務者から外れることになります。妻に住宅ローンを支払えるだけの安定した収入がある場合に利用可能な方法ですが、一番後のトラブルが少ない方法といえます。

夫から家に利用権を設定してもらう方法

次に、家に夫から賃貸借や使用貸借という利用権を設定してもらい妻が居住権を確保するという方法があります。当事者間で合意が成立すればこの方法を取ることができますし、これまでの裁判例の中には扶養的財産分与としてこの利用権設定を認めたケースもあります。財産分与には金銭による給付だけではなく現物の給付、利用権の設定等裁判所は一切の事情を考慮して合理的な財産分与の方法を選択できるとされています。ただし、この方法を認めた裁判例は、あまり多くはありません。このような裁判例は、夫が明らかな有責配偶者であるケースも少なくありません。こと離婚訴訟に至った場合は、このような解決が期待できるケースはあまり多くないかもしれません。

妻が夫の住宅ローンを立て替え払いし続ける方法

妻が夫の住宅ローンを借り換えできるだけの十分な収入がない場合、夫の住宅ローンには手を付けず、妻が事実上住宅ローンを立て替え払いすることで家に住み続けるという方法も考えられます。この場合、妻が住宅ローンを完済した場合は家の所有名義を夫から妻に移転することを夫と事前に合意しておくことが必要です。

もっとも、夫が自己破産する場合には金融機関から住宅ローンの一括支払いを求められることになります。また、いずれにしても前に述べた所有名義移転の合意が実行に移されるのは数十年先のことになる場合もあり、夫の所在不明、再婚後の死亡による相続発生などの法的リスクは妻が引き受けることになるため、十分な注意が必要です。

財産分与を含む離婚問題や男女問題でお困りの方がいらっしゃいましたら、是非弊事務所までお気軽にご相談くださいますようおすすめいたします。

 

 

コラム:離婚・男女問題

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