離婚時の財産分与で不動産を分与する場合の留意点
以下では、夫婦の離婚時における不動産の財産分与について見てみたいと思います。
不動産評価の方法
夫婦の離婚時における財産分与で不動産を分与する際には、まず不動産の査定手続きが必要になります(なお、夫婦がそれぞれ婚姻前から所有していた特有財産は財産分与の対象となりません)。
この自宅の査定手続きですが、実務上不動産業者の作成する査定書で足りるとされるのが一般的です。ただし、査定額の開きが大きかったり当事者間の争いが強い場合は、裁判所の選任する専門家(不動産鑑定士)が作成した鑑定書まで要求される場合もあります。
評価の基準時
次に不動産評価の基準時についてですが、これは実務上は裁判時とされるのが一般的です。また、実務上は複数の不動産業者(2~3社程度)に査定書を作成してもらい裁判所に提出することが多いといえます。
離婚に伴って自宅の名義書き換えと住宅ローンの引き受けはできるのか?
最後に、離婚に伴う財産分与として、自宅不動産の名義書き換えと、それに付随する住宅ローンの引き受け(借り換え)は可能なのでしょうか?妻が子どもと一緒に自宅不動産に残り、夫が単独で家を出てゆく離婚の際によく問題となるケースです。
一般的に銀行などの金融機関はこのような自宅の名義や住宅ローンの借り換えの相談に対してはあまり積極的とはいえません。しかし、住宅ローンの借り換えを受ける側に住宅ローンの支払いに長期間耐えられるだけの定まった職業と収入があることさえ証明できれば、金融機関も事前審査の上で自宅の名義書き換えや住宅ローンの借り換えに応じてくれる場合があります。この点は、住宅ローン債権者とよくご相談なさるのがよいでしょう。
ご自分のケースでご自宅の財産分与について専門家の意見を聞いてみたいという方は、一度弊事務所までご相談されることを是非お勧めいたします。