離婚の際の財産分与にはどのような種類のものがあるか(2)全2回

離婚の際の財産分与にはどのようなものがあるのでしょうか。
通常、財産分与においては次の4つの観点が考慮されるとされています。

  1. 清算的財産分与
  2. 慰謝料的財産分与
  3. 扶養的財産分与
  4. 過去の婚姻費用の清算

弊事務所の実績例やその他の過去の裁判例を見ますと、裁判所がそれらを単純に積算して財産分与額を算出するケースや、それらを総合考慮して財産分与額を算出するケースなどが見られます。

以上のうち、前回は1.清算的財産分与についてご説明しましたので、今回はその他の2.~4.の3類型について見ていきたいと思います。

慰謝料的財産分与とは

財産分与においては慰謝料を考慮することができ、これを慰謝料的財産分与といいます。
慰謝料的財産分与は、一方の配偶者が他方の配偶者に対して慰謝料単体としての金銭請求を行わない代わりに不動産などの現物の分与を請求したいときによく用いられる手法です。
ところで、当然といえば当然ですが、このように慰謝料の支払いが財産分与で考慮された場合は、別途そのことを理由に不法行為に基づく損害賠償請求をすることはできませんので、この点は注意が必要です。

扶養的財産分与とは

扶養的財産分与とは、離婚後の離婚当事者やその子どもの扶養という観点から決められる財産分与のことをいいます。扶養的財産分与は、清算的財産分与、慰謝料的財産分与及び後に述べる過去の婚姻費用の清算としての財産分与を受領しても一方配偶者が離婚後の生活に困窮するという場合に、補充的に命じられることがあります。
扶養的財産分与においては、困窮している側の配偶者(権利者)の収入や要扶養状態、そして扶養する側(義務者)の収入(扶養能力)が審理されます。

過去には高齢であったり重い病気を抱える主婦、未成熟子を監護している主 婦や著しく低収入または無収入の妻に、義務者の扶養能力も考慮しつつ、一 定期間の定期金又は一括金の支払いを命じた裁判例があります。

過去の婚姻費用の清算

財産分与までに婚姻費用の支払い義務者が権利者に対して支払うべき婚姻費用を滞納していた場合は、その分義務者の財産が権利者の損失によって増加していることとなるため、これを財産分与において考慮することが行われています。

こうした婚姻費用の支払い滞納分のうち一体どの程度が分与財産に追加されるのかですが、必ずしも全額とはなりません。権利者の努力の結果でもあるとはいえ既に権利者が婚姻費用の(一部の)支払いなくそこまで生活を送れてきたことは事実なので、婚姻費用の未払い滞納分のうち通常2~3割、多いと5割程度の支払いが清算段階でお目こぼし(免除)となる場合が多いように見受けられます。
離婚や男女問題でお困りの方がいらっしゃいましたら、是非弊事務所までお気軽にご相談くださいますようおすすめいたします。

コラム:離婚・男女問題

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