商標とは
商標とは、事業者(ここでいう事業者には法人も個人も含みます)が提供する商品やサービスを、他人のものと識別しやすくするために、商品・サービスに使用する識別標章(マーク)のことをいいます。
このように商標は自分の商品等と他人の商品等とを区別する機能を発揮する目印となるものですが(自他識別機能)、同時にそれは商標の表示された商品等が一定の品質を有していることを保証する機能(品質保証機能)、さらには商品等それ自体を広告・宣伝する機能(広告宣伝機能)を有しています。
商標の持つ3つの機能
- 自他識別機能
- 品質保証機能
- 広告宣伝機能
商標は多くの機能を持ち合わせたマルチプレーヤーなのです。
現在法律上商標として登録が認められているのは、文字、図形、記号、立体的形状、色彩、これらの結合、音等からなるものに限られています。このうち、色彩や音は近年の商標法改正に伴って登録が認められるに至ったもので、昨今登録数が増えてきています。一方、におい、味などは現在の法制度においてはまだ登録の対象となっていません。したがってたとえば香水などは、そのネーミングでブランディングして商標登録したり、あるいは香水容器を立体商標登録や意匠登録して権利化するほかはありません。
商標登録の重要性
自社の商品やサービスに良い商品名やサービス名をネーミングできると、とても嬉しいものですね。しかし、それで自社の商品やサービスをブランディングしようと思っても、SNSやホームページで紹介したり、販路に乗せた途端に商品名やサービス名を他社に模倣されて(パクられて)しまったりしたら、元も子もありません。きちんとあなたがネーミングしたものを権利化しておかないと、他社がそれを模倣するのを止めることはできませんし、最悪の場合その他社が先に権利化に成功してしまい、あなたに対して商品名やサービス名の使用中止を求めて警告を送ってくるという事態になりかねません。こうした事態を予防するため、商標登録が有効なのです。
商標が登録されれば、商標権者のあなたは日本全国において、当該商標を独占的に使用できるとともに、同じ商標(同一商標)や似た商標(類似商標)を用いる他の事業者に対して、その使用の差止や、既に使用によって損害を受けていれば損害賠償の請求をすることができます。こうすることであなたの商標に付随しているブランドや信頼といった無形的価値を法的に守ることが可能となります。
一方、せっかくのあなたの商標が登録されていないと、あなたにはこれを独占的に使用できる権利もなく、他人の使用を排除することも基本的にできないということになります。 すなわち、あなたの商標は法的に守られた権利ではなく、事実上の使用ができるにすぎません。 もし他人がその商標や似た商標について、既に商標権を取得している場合には、あなたはその他人からの請求があればその使用ができなくなり、 また多額の損害賠償義務を負うということにもなりかねません。 一度ブランドを築き上げた商品名やサービス名が使えなくなると、ブランド低下による売り上げの減少はもちろんのこと、他社のブランドを犯したというレピュテーションリスクの発生、広告宣伝の打ち切り、広告宣伝商材の全面リニューアルなど被るダメージとリスクの大きさは計り知れないものがあります。
以上のように、ブランディングの観点から事業活動を守るための武器として、事前に商品名やサービス名の商標を登録しておくことが極めて重要であるといえます。