相続財産である不動産の評価、どうやって行うか?
相続財産の中に不動産が含まれている場合、遺産分割においてその評価が問題となります。遺産分割は、相続財産を各法定相続人の具体的相続分に応じて公平平等に分割することを旨とするためです。
今回は、不動産の態様ごとに、その評価方法を見ていきたいと思います。
一般の土地建物
一般の土地建物については、下記のような価額を参考に不動産を評価します。
①(地価)公示価格
売り手の売り急ぎ、買い手の買い急ぎなど特殊な事情がないという前提のもと成立する価格であり、使用・収益する権限が設定されていない正常価格とされるものです。
公示価格は更地(土地)のみに設定されます。
毎年1月1日時点が評価時期となり、後述する固定資産税評価額や相続税評価額(路線価)の基準ともされています。
②固定資産税評価額
こちらは固定資産税を賦課する基準となる評価額です。毎年1月1日時点が評価時期となります。ただし評価替えは3年に1回です。
土地の固定資産税評価額は、現在公示価格の7割に設定されており、公示価格や実勢価格よりは割安であることが多いといえます。
前述のとおり固定資産税評価額は3年に1回しか評価替えが行われないため、公示価格や実勢価格の変動が大きい時期にはこれらの価格との乖離が大きくなってしまいます。このような際に固定資産税評価額を不動産の評価に利用する場合、時点修正が必要となります。
③相続税評価額(路線価)
こちらは相続税を賦課する基準となる評価額です。相続税評価額も毎年1月1日が評価時期となります。相続税評価額は、現在公示価格の8割程度とされています。
こちらもインフレや局所的な地価の高騰等で公示価格や実勢価格の変動が大きい時期にはこれらの価格との乖離が大きくなってしまいますので、このような際に相続税評価額を不動産の評価に利用する場合、時点修正が必要となることがあります。
借地権付き建物
借地権付き建物については、通常公示価格等で算出した更地価格に借地権割合(相続税評価額を算出する際に使用する路線価図に記載されています)を掛け合わせて評価された借地権価格に建物の評価額を足し合わせて評価するのが通例です。
底地
底地とは建物所有目的の借地権が設定された土地のことをいいます。
底地については遺産分割の実務上は借地権付き建物と裏返しの関係になり、更地価格から借地権価格を控除した金額が算定も比較的容易である上に公平であるとしてしばしば用いられます。
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