遺言無効確認請求訴訟における証拠とは
弊事務所でも取り扱い実績のある遺言無効確認請求訴訟ですが、遺言書の無効確認を勝ち取るために必要な証拠としてはどのようなものが挙げられるのでしょうか。まずはリスト的に挙げてみたいと思います。
- 遺言者について医師の作成した認知症の診断書、成年後見用診断書、カルテ、意見書など
- 遺言者の介護関係に関する資料
例えば要介護認定の調査の際の認定調査票、日常生活自立度の検査結果、看護報告書、介護指示書、医師の意見書など - 遺言者や介護者の作成した録画・録音資料
- 遺言者の作成した手紙、メモ
- 警察への通報記録、救急車の搬送記録
- 防犯カメラ映像
など
この中で成年後見診断書については作成担当医師により「事理弁識の能力なし」「遺言能力なし」などの記載がされることもありますが、裁判所はこうした記載のみから単純に遺言者について遺言能力なしと判断することはないので(補充の主張はいくらでも求められることがあります)、この点は注意が必要です。
まずはこうした資料を任意の調査や代理人弁護士による弁護士照会手続を用いて収集できないかを検討することになります。
証拠が事前に揃わないと訴訟は提起できないのか
なお、上記の中には必ずしも訴え提起前に収集できない資料も一定程度存在します。こうした場合、先に訴訟提起した上で文書送付嘱託や調査嘱託、文書提出命令などの申立を訴訟の中で行い、証拠を入手することも検討します。
その他の証拠収集方法
また、その他の手続きとしては遺言者の精神鑑定(遺言者自身は既に亡くなっているため残っている書面中心の鑑定手続きとなります)の実施の要否、さらに人証(証人尋問)について遺言者による遺言書作成当時の遺言能力の有無を判断するために医師、介護職員(ケアマネ、ヘルパーなど)、公証人、証人、同居親族、ホームサービスの担当者などを証人尋問するかどうかを検討することになります。なお、ここでは医師の証言内容が必ずしも裁判所に採用されるとは限らないこと、公証人など遺言者との面会回数が少ない人物に対する尋問については証人自身が具体的な事実を記憶していないことも多く必ずしも原告側にとって有利な証言が得られるとは限らないこと、などに注意が必要です。
このような次第ですので、ご自身による調査だけで遺言無効確認請求訴訟の証拠が十分に集まらない、、などと嘆く必要は必ずしもございません。
相続対策、相続遺言事件でお悩みの方は、弊事務所までお気軽にご相談くださいますようおすすめ致します。